妊娠には“卵子”と“精子”の出会いが肝心ですが、特に原因が見つからない『原因不明の不妊』に悩むカップルが、不妊症の10~25%を占めています。
そこで今回は、子宮の形や骨盤のゆがみといった別の角度から、不妊の原因をクローズアップしていきたいと思います。
この記事では、
・不妊と子宮奇形や骨盤の歪みとの関係
・骨盤のゆがみチェック
・骨盤を正しい位置に戻すトレーニング
についてご紹介していますので、妊活に取り組む中で1つの参考にしていただければ幸いです。
不妊や流産に繋がる子宮奇形
子宮奇形とは、生まれつき子宮の形に異常があり、女性全体の5%にみられる病気です。生理痛や生理周期などの一般的な月経異常が主な症状なので、妊活や検診の膣内エコーで見つかるケースが多いようです。
正常な子宮と子宮奇形とでは、形や機能にどのような違いがあるのでしょうか。
図1 正常な子宮の形
出典元:一般社団法人 日本医療教育財団
正常な子宮は、図のように2つの卵管と卵巣、子宮から繋がる膣がある筋肉でできた臓器です。卵巣で卵子を作って育て、卵管の先端にある手のような卵管采(らんかんさい)から卵子をつかんで排卵します。排卵した卵子は卵管を通って精子と出会い、受精してから子宮の内膜に着床することで妊娠が成立します。
では、子宮奇形の場合はどのような仕組みになっているのでしょうか。
図2 子宮奇形
出典元:日本産科婦人科学会
子宮奇形は、図2のようにアメリカ不妊学会により7種類に分類されています。今回はそのうちの6種類について、ご説明します。
1(Ⅰ):低形成/欠損
先天的な子宮低形成の多くは、卵管(ミュラー管)の発育不全が原因です。その他にも膣や卵管の欠損などの異常などがあり、染色体異常や卵巣機能不全をともなうため、治療は不可能で妊娠も困難です。しかし、思春期以降にエストロゲンの分泌が少ない状態が続くことで起こった子宮発育不全の場合は、不妊症や習慣流産の治療を行うことが可能です。
2(Ⅱ):単角子宮
子宮の左右どちらかが欠損している状態で、胎児期による卵管の発育不全が原因です。卵巣と子宮の機能があるので自然妊娠は可能です。しかし、流産や早産の確率が2.1倍で、子宮外妊娠の確率も高くなるため妊娠後の管理が必要となります。
3(Ⅲ):重複子宮
1つの膣から子宮が左右に分かれていて、子宮の真ん中に壁がある状態です。子宮の入り口(子宮口)から2つに分かれているため子宮口がせまく、精子も排卵している子宮側に入る可能性が下がる分、妊娠率は低くなります。また、流産や早産の確率が1.17倍となっています。
4(Ⅳ):双角子宮
重複子宮は子宮自体が2つに分かれていますが、双角子宮は”子宮の中で”子宮が2つに分かれている状態です。双角子宮は自然妊娠が可能で、手術をしても妊娠率が上がらなかったという研究結果もあります。
5(Ⅴ):中隔子宮
1つの子宮が壁で仕切られている状態で、子宮奇形の中でもっとも流産・早産率の高い2.81倍となっています。145人の中隔子宮患者に対し、手術をしない場合の妊娠率は53.8%、手術をした場合の妊娠率は81.3%と、手術をすることで妊娠率を上げることが可能です。
6(Ⅵ):弓状子宮
正常な子宮の場合は、子宮の一番上(子宮底)に丸みがありますが、その部分がへこんでいて子宮の内側(子宮内腔)が狭くなっている状態です。妊娠率は正常な子宮と変わりないので、妊娠後の流産や早産(確率2.03倍)への管理が必要です。
子宮後屈も子宮奇形なの?
子宮後屈とは、正常な子宮の向きとは反対向きに子宮が傾いている状態です。正常な子宮は図3のように、膣からおへその方に向かって伸びるような形をしています。
図3 正常な子宮の向き