はじめてさんのための不妊治療の教科書 その⑤ 不妊治療を受けるときに考えておきたいこと

  • 不妊治療・婦人科

不妊治療を受ける過程ではさまざまな出来事があります。

体への負担だけでなく、いろんな理由から心身ともに疲れてしまって「治療から開放されたい」と思うことがあるかもしれません。

今回は不妊治療を受けるときの「心構え」について考えてみましょう。

これからお伝えすることは、「絶対にこうしてください」ということではありません。

不妊治療を乗り越えるためのひとつのヒントとして、参考にしていただければと思います。

不妊治療を始める前に

「妊娠しにくいかも」と感じたら、多くの方が不妊に関する情報を集め、不妊治療を考え始めます。その際に気をつけたいことをいくつかお伝えしましょう。

不妊・不妊治療について夫婦で話し合う

どちらか一方に「不妊」という認識があったとしても、パートナーが同じように感じているとはかぎりません。「そんなはずはない」と否定したくなる気持ちもあるでしょう。

まずは、「なかなか子供ができない」という事実について、お互いがどのように思っているか話すことが必要です。

不妊に対する夫婦の考えがまとまらない状態では、不妊治療のスタートラインに立つこともできません。「子供が欲しい」「そのために不妊治療を受けたい」という意見が一致していることが前提になります。

情報を集める

いまやインターネットでいろいろな情報が手に入りますが、大切なのはその中から正しい情報・知識を選び取ること。

そもそも、「どうして不妊になるのか?」を理解しないまま検査・治療の内容を見聞きしたところで、いまひとつピンとこないでしょう。

不妊という状態や不妊治療を理解する一番の近道は、

「妊娠の仕組みを理解すること」

これに尽きます。

妊娠は卵子と精子が複雑な仕組みをいくつも乗り越えた結果であり、きわめて偶然性の高い出来事です。その仕組みのどこかに不具合が生じて、子供が授かりにくい状態を「不妊」と呼びます。

そして、その不具合に対して行われる医療が「不妊治療」です。

妊娠の仕組み・不妊については、こちらでも説明していますので参考にしてください。

はじめてさんのための不妊治療の教科書 その① 〜不妊症という状態と原因について〜


また、不妊治療はこれまでの研究・治療実績によって積み重ねられた科学的根拠に基づく治療法であり、新たな生命の誕生を助ける専門的な医療です。

不妊で悩む夫婦にとっては、「子供のいる未来」を託す医療といってもよいでしょう。

そんな中で「不妊ビジネス」といわれる利益優先の情報、つまり、不安をあおって「不妊に効く」とされる商品を売ることが目的のものもあります。

正しい情報とそうでない情報を見極め、根拠に裏打ちされた不妊治療を理解することが大切です。

 

病院選び

不妊治療を受けるにあたり、最初に悩むのが病院選びです。

初めてのことで「どの病院を選んだらよいかわからない」という方も多いでしょう。

現在は口コミサイトも充実していますし、病院(クリニック)のホームページでは院内の様子や治療内容をある程度知ることができます。


気になる病院(クリニック)が見つかったら、電話で問い合わせてみるのもよいでしょう。

その際の対応で、病院の印象がなんとなくわかることもあります。

また、どんな治療に対してもいえることですが、一方的な治療・受け身の姿勢ではよい結果は得られません。患者側が主体となって、医療者と協力しながら治療を進めます。

信頼できる医療者(医師・看護師・不妊カウンセラー)がいるかどうかも、大切なポイントです。こればかりは相性もありますから、実際に病院に出向いてみないとわかりません。

ほかにも、通いやすい立地であるか、診療日と診療時間、治療費はどのくらいかかるか、といったことも事前に調べておくとよいでしょう。

 

治療の決断

「もしかして不妊かも?」と感じてから実際に不妊治療を決断するまで、自分たちで情報を集めたり、実際に医療者から説明を受けたりすることで、さまざまな不安・疑問が生じると思います。


治療を決めるのは、ほかでもないあなた自身(ご夫婦)です。

つぎのポイントに気をつけて、十分納得したうえで治療の決断をしましょう。

  • 医療者から十分な説明を受ける
  • わからないこと・気になることは何度でも確認する
  • 示された治療方針が、自分たちにとってベストな方法であると納得している
  • 夫婦間で意見のズレがないこと
  • 治療に対する正しい認識を持ち、自己決定する(医療者任せにしない)
  • 必要ならセカンドオピニオンを検討する
  • 治療に入る前に、治療のリミットを決めておく(年齢・治療期間・費用)

 

不妊治療を受ける過程で

実際に治療を始めると、身体的な苦痛だけでなく、思った以上に長期戦である(なかなか妊娠しない)ことにストレスを抱える方が多くいらっしゃいます。

ネガティブな感情を抱えやすい

治療にともなうストレスや薬の副作用で、気持ちが不安定になりがちです。

なかなか妊娠に至らず、焦る気持ちもあるでしょう。


信憑性の低い民間療法に助けを求めたり、治療に対するネガティブな感情、医療者への不信感を抱くかもしれません。

これらは、「不妊治療を受ければ妊娠できる」という医療への過信や、即効性を期待することで生じる問題です。

先ほどもお話したように妊娠はきわめて複雑で、いくつもの偶然が重なり合って成立します。そのため、卵子と精子が出会って妊娠・出産する確率は、4回に1回くらいともいわれています。若くて健康な夫婦であっても、1回で妊娠できる保証はどこにもありません。

1回で妊娠できたら、それはとても幸運なこと。焦りは禁物です。

 

不妊治療は年齢との闘いでもある

しかし、逆の場合もあります。

ART(高度生殖医療)へステップアップすべき段階であるにもかかわらず、「なるべく自然な方法」にこだわるあまり、慎重になりすぎるケースです。

こんなデータがあります。

ART1周期あたりの出産率は、30代でも2割程度。

40代になると1割未満、45歳になると1%未満といわれています。

不妊治療に関しては、焦るあまりストレスや不安を感じすぎるのもよくないし、逆にのんびりしすぎるのもよくないということです。

とくにアラフォー世代の女性にとっては、不妊治療=時間(年齢)との闘いともいえるので、適切な時期でのステップアップが必要です。

 

常に納得しながら治療を進める

治療を始める前に、意見の相違がないよう夫婦でよく話し合うこと、治療のリミットを決めておいたほうがよい、とお話しました。

しかし、人の気持は絶えず変化するものです。治療開始前と実際に治療を受けてからでは、心境の変化は十分に考えられます。

治療が長期化することもありますから、定期的に夫婦の気持ちを確認し合うことが大切です。

  • その時々で感じていることを自由に伝え合う
  • 今の治療内容が夫婦の希望するものであるか確認する
  • 当初設定した治療のリミットが適切であるか確認する

これらのことを振り返り、夫婦の認識と治療方針にズレが生じないようにします。

不安や疑問に感じていることは医療者に確認し、ひとつずつ解消して納得しながら治療を進めていきましょう。


一般不妊治療は1年以内、高度生殖医療(ART)は1〜2年がひとつの目安

タイミング法・人工授精といった一般不妊治療は、「若い夫婦であっても1年以内を限度にすべき」という考え方があります。1年以内に妊娠しない場合、それ以上同じ治療をくり返しても妊娠できる可能性は低いからです。

一般不妊治療で妊娠できない夫婦には、ピックアップ障害(卵子を卵管内に取り込めない)や、受精障害(精子が卵子の中に入っていけない)が潜んでいることがあります。

これらの不妊原因は一般的な検査では見つけられず、いくら人工授精をくり返しても妊娠には至りません。

体外受精にステップアップしたら妊娠し、そこで初めてピックアップ障害や受精障害だったとわかるのです。

いたずらに時間を浪費しないためにも、適切なタイミングでステップアップを検討する必要があります。


しかし、ARTを受けたからといってすぐに妊娠できるわけでもありません。

ARTによる出産率は女性の年齢が大きく関係し、施設によっても成功率に差があります。

治療期間はあくまでもひとつの目安であり、女性の年齢や体調、精神的・経済的負担によっても治療方針は変わってきます。

不妊治療に行き詰まったときは

検査や処置にともなう苦痛、薬の副作用、治療が長期化して精神的につらい、治療から開放されたい……。そんなときは、治療をお休みするのもひとつです。

治療からいったん離れて、「不妊治療のない日常」に戻ってみる。

治療から開放され、生活に余裕を取り戻すことで、治療に向かう気持ちを整えましょう。

気持ちを整えることで、夫婦の価値観、子供を育てるということ、子供のいない生活について改めて考えるきっかけにもなります。

治療を「完全にやめる」という選択は、なかなか決断しにくいものです。

まずは「ちょっと中休み」という気持ちで、自分を開放してあげましょう。

ある人は再び治療に向かう気力が湧いてくるかもしれませんし、ある人は治療を終える決断に至るかもしれません。

不妊治療にかかわるお金の問題

ARTでは高額な治療費が必要です。

不妊体験者のサポート団体である「Fine」の調査によると、体外受精の1周期あたりの平均治療費は、30万〜50万円未満が52.2%、50万円以上が26.9%と、約8割の方が30万円以上の費用を負担していました。

一方、顕微授精は1周期あたり50万円以上が44.7%、30万〜50万円未満が43.9%と、さらに高額な治療費を要することがわかっています。

経済的負担を理由に子供を諦めてしまうということは、「子供が欲しい」という基本的な欲求・権利を損なうことになります。

そこで、このような不妊治療にかかわる経済的負担を少しでも軽くするため、全国の自治体で「特定不妊治療費助成事業」という制度が設けられています。

ART1回につき15万円(初回のみ30万円)、一部の治療は7.5万円の補助を40歳未満であれば通算6回まで受けることができます。

女性の年齢や世帯収入によって補助の制限があることや、自治体によって金額が多少異なる場合もありますので、詳しくはお住まいの自治体に問い合わせてみてください。

【まとめ】

不妊治療は「出口の見えない長いトンネル」に例えられます。

これから治療を受ける方は、治療によってもたらされるさまざまなストレスやトラブルに、そのつど対応しなくてはいけません。


どんなことに注意すべきかを理解し、トラブルをなるべく事前に回避するためには、正しい知識と心構えが必要です。それらは、問題にぶつかったとき必ずあなたを助けてくれます。

今回お伝えしたことが、ひとつのヒントになれば幸いです。



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<出典・参照元>

不妊治療ガイダンス 第3版 (編著:荒木重雄 浜崎京子 医学書院)

不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる「妊娠への近道」(浅田義正・河合蘭 著)

NPO法人 Fine(ファイン) のご紹介(厚生労働省)