はじめてさんのための不妊治療の教科書 その① 〜不妊症という状態と原因について〜

  • 不妊治療・婦人科

普段このサイトでは、幸せな妊娠・出産のお手伝いをするため、漢方の視点からみた「不妊」「体や心の不調」について発信しています。

そのためお伝えする内容は、漢方(東洋医学)の考えに基づいたものが多いですが、西洋医学と東洋医学、それぞれに優れている点があります。

不妊をはじめとしたさまざまな問題は、西洋医学でなければ解決できないものもありますし、医学の進歩で明らかになった体の仕組み・病気の原因などを理解しておくことは、不妊治療を進めるうえで大切なことです。

今回は、西洋医学の視点から、「不妊という状態と原因」について解説します。

医学的な用語は、なるべくわかりやすい表現にしていますので、ぜひリラックスして読んでください。

子供がいない=不妊症?

不妊症と、その種類について説明します。

不妊症とは

妊娠を望む健康な夫婦が、ある一定の期間、避妊せずに性交を続けても妊娠しない状態をいいます。「一定の期間」とは、子供を望んでからの1年間です。

これは、20代の健康な男女が結婚すると、半年以内に70%・1年以内に90%の割合で妊娠するというデータにもとづいています。

不妊症とは、「妊娠を望んでいる」ことが前提になっているため、夫婦の意思により、あえて「子供を作らない」「不妊治療をしない」という選択をされている場合は、不妊症に当てはまりません。

 

不妊症の割合

日本では、約10%の夫婦が不妊に悩んでいるといわれています。

しかし、現代の晩婚化・出産年齢の高齢化にともない、「実際には、もっと多くの不妊症カップルがいる」というのが専門家の意見です。

 

女性の年齢と不妊症の関係

不妊症に関する研究報告では、
「20〜24歳がもっとも妊娠しやすい」というデータがあります。

女性の場合、30歳を過ぎた頃から妊娠力が低下しはじめ、35歳を過ぎると不妊症の割合は一気に増加します。そして、40歳を過ぎると自然妊娠は難しくなるといわれています。

女性の不妊症の割合(年代別)

20代前半まで…5%以下

20代後半から…9%

30代前半…15%

30代後半…30%

40歳以降…64%

これは、加齢による卵子の質の低下・女性ホルモンの減少が大きく関係しています。
ちなみに、男性も35歳頃から精子の質が低下しますが、女性ほど速いスピートではありません。

 

男性不妊と女性不妊 「どちらが」ではなく、「どこが」悪いのかを知る

不妊症を克服して赤ちゃんを授かるには、「不妊の原因となるもの」を見つけることが必要です。

原因がわからない状態では、適切な治療を受けることができないからです。

不妊症の原因は、「男性不妊」「女性不妊」に大きく分けられ、夫婦のどちらか、または夫婦ともに原因を認める場合があります。

多くの場合、不妊症の原因は女性側にあると思われがちですが、約半数の割合で男性側にも原因があります。

そして、大切なのは「どちらに」ではなく、「どこに」原因があるかを知ることです。

つまり、不妊症の原因を明らかにする目的は、「どちらが良い・悪い」をはっきりさせることではなく、「適切な不妊治療を受けるために、どこに障害があるのかを探し出すこと」だと考えてください。

 

不妊症の原因にはどのようなものがある?

不妊症自体は病気ではありません。

しかし、不妊症の背景には、生殖器官のトラブルや病気がひそんでいることもあります。

不妊症の原因を、男性不妊と女性不妊に分けて詳しくみていきましょう。

男性不妊

①性交・射精の異常

正常な性交・射精がむずかしく、不妊症の原因となります。

・性欲減退、セックスレス
精神的要因、加齢などが原因となります。

・勃起障害(ED)
精神的要因のほかに、内分泌・神経系の病気があることも。

・射精障害
勃起はするものの、正常な射精ができない状態です。

・逆行性射精
精液が膀胱内に入ってしまい、精液中の精子が極少量〜まったくない状態です。

②造精機能の異常

精巣の働きが障害されることによって、十分な精子が作れない状態です。
男性不妊の原因でもっとも多くみられます。

・クラインフェルター症候群
染色体異常により、陰嚢・精巣がきわめて小さく、無精子症となります。

・停留精巣
陰嚢内に精巣がみられず、成人の場合は無精子症となります。

・感染症
代表的なものに、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)による精巣炎があります。

・精索静脈瘤
精巣の血流が悪くなることで酸素がいきわたらず、精巣機能に障害が起こります。

③精管の通過障害

精巣で精子は作られているものの、射精後の精液中に精子が含まれない状態を「閉塞性無精子症」といいます。先天的な欠損、手術による損傷、感染症などで精子の通り道がさえぎられている状態です。

そのほか、高温の環境で長期間仕事をしている男性は、造精機能障害を起こしやすいといわれています。

 

女性不妊

①排卵因子(排卵障害)

卵胞がうまく育たなかったり、排卵がみられなかったりする状態です。

卵胞の発育や排卵は、間脳(視床下部)ー下垂体ー卵巣の相互作用によって調整されていて、このいずれかに不具合が生じると不妊症につながります。

・視床下部の異常
環境の変化やストレス・過度なダイエットが原因となって、ホルモンバランスの変調をきたします。

・下垂体の異常
代表的なものに、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)があります。
男性ホルモンの分泌が増え、無月経や希発月経、排卵がないのに月経様の出血がある無排卵周期症などがみられます。

・卵巣の異常
性染色体異常のあるターナー症候群、卵巣の発育不全、20〜30代の早発閉経などがあります。また、子宮内膜症が卵巣で発症すると、卵胞の発育に支障をきたします。

②卵管因子

女性不妊の原因でもっとも多くみられるのが、卵管の異常です。
卵管の役割をみてみると、妊娠をするうえでとても重要な働きをしていることがわかります。

・卵子と精子の通り道になる

・排卵した卵子をキャッチする(卵管の先端にある卵管采)

・卵子と精子が出会い、受精する場所となる

・受精した胚を育て、子宮まで運ぶ

これらの役割がひとつでも障害されると、妊娠することはできません。

このように大事な役割をたくさん担っている卵管ですが、非常に細く繊細で、内径が1mmほどしかない場所もあります。

そのため、子宮内膜症やクラミジア感染症などにかかると卵管の変形や癒着を起こしやすく、通過障害やピックアップ障害の原因となります。

③子宮因子

・子宮筋腫
筋腫が子宮内膜から浅い場所にあると、子宮腔(子宮の中の空間)に変形をきたし、着床障害の原因となります。

・子宮の奇形
中隔子宮・双角子宮などの奇形は着床障害を起こしやすく、流産の頻度が高くなります。

④頸管因子

子宮頸管は、子宮の出口を巾着のようにキュッとしめて、子宮内部を守っている部分です。

頸管には、普段から粘り気のある「頸管粘液」が少量存在しますが、排卵が近づくと粘り気の低い水様粘液に変化し、量も増えます。
いわゆる、「のびおり」「水おり」と呼ばれるものです。

この頸管粘液によって精子の運動性・受精する力が高められ、精子が子宮頸管→子宮腔→卵管へと進むことができます。

頸管粘液の分泌が少なかったり、粘液の性質に異常がある(精子と不適合を起こす)と不妊症の原因となります。

⑤免疫因子

女性の体に「抗精子抗体」があると、体内に入った精子を「害のある異物」とみなし、攻撃をはじめます。

この抗体によって精子の運動性や受精する力が奪われるため、精子は卵子にたどり着くことができません。

⑥原因不明の不妊

不妊検査で異常が見当たらなくても、妊娠できないケースが約10%いるといわれています。

 

不妊症の原因を特定するのはむずかしい

赤ちゃんを授かるためには、不妊症の原因を見つけることが非常に重要です。
まったく見当はずれの治療をしたところで、いつまでたっても妊娠は期待できません。

とはいっても、不妊症はいろいろな要因が複雑に絡んでいることが多く、「これ」と特定するのがむずかしいのも事実です。

ようやく原因が見つかったとしても、まったく別のトラブルが潜んでいることもあります。

そもそも、不妊症を複雑なものにしているのは、なんでしょうか?

それは、「妊娠」の仕組みを知ることによって理解できます。

 

複雑な「からくり装置」をクリアして、初めて妊娠が成立

妊娠するためには、精子と卵子がいくつかのステップをクリアする必要があります。

男性の場合は、

精子を作る→勃起・性交・射精→精子が子宮頸管・子宮腔・卵管へ進む→卵子と出会う

…というステップ

 

女性の場合は、

毎月約1000個の原始卵胞から、たったひとつの卵胞が育ち、成熟する(この間、子宮内膜が厚くなる)→排卵→排卵後、卵胞が黄体に変化する(着床しやすいように、子宮内膜をフカフカにする)→卵子が卵管内に取り込まれる→精子と出会う

…というステップ

 

さらに、

精子が卵子の内部へ進入→受精→受精卵が胚に変化する→細胞分裂を繰り返し、胚盤胞になる→卵管から子宮腔に送られる→着床する

…というステップ

 

ここまできて、やっと妊娠成立です。それはまさに、複雑なからくり装置のよう。
これらのステップの、どこかひとつでも不具合が生じると妊娠は成立しません。

女性の体の中では、ホルモンの働きによって複雑な現象がタイミングよく起こり、一連の流れが滞りなく進むように調整されています。

妊娠は一筋縄ではいかない、まさに奇跡の連続なのです。

 

【まとめ】

不妊症について正しい知識を得ることは、不妊治療の第一歩です。

治療を検討されている方や、これから治療を開始するという方はとくに、不妊症を理解することで治療へ向かう気持ちを高め、主治医やカウンセラーとのやり取りでもきっと役に立つはずです。

最後に、不妊症は女性だけの問題ではありません。

夫婦で不妊治療についての正しい知識を共有し、話し合い、協力し合って治療にのぞんでいただきたいと思います。

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<出典・参照元>
不妊治療ガイダンス 第3版 (編著:荒木重雄 浜崎京子 医学書院) 

生殖医療の必修知識 2017(一般社団法人 日本生殖医学会 編)