排卵誘発剤『クロミフェン』(クロミッド)

  • 不妊治療について

排卵誘発剤『クロミフェン』(クロミッド)の概略と注意点

病院で不妊治療をされたことがある方なら、
排卵誘発剤である『クロミッド錠』を飲まれた事があると思います。

「生理5日目から5日間飲んでくださいね」
そんなふうに言われる方が多いでしょう。

ではそもそもなぜ、
生理5日目から5日間飲むかをご存知ですか?

この『クロミッド』というのは商品名で、
薬物の名称は「クエン酸クロミフェン」と言います。

排卵誘発剤として、おそらく最も有名な薬でしょう。

1961年にアメリカで開発され、日本では1968年に発売されました。
40年以上の歴史のある薬です。

排卵しにくい排卵障害がある人でも、
服用することで排卵率が上がるため、一気に世界中に広がりました。

一般的な女性ホルモン剤では、
吐き気やめまい、むくみなど様々な副作用が出るのに対し、
クロミッドは副作用が少なく飲みやすい薬なので、とてもよく使われます。

ただ一方で、
排卵率が高くなる割に、
意外と妊娠率は高くならないことが知られています。

なぜかというと、
子宮内膜が薄くなったり、
頚管粘液(排卵期のドロッとしたおりもの)が少なくなる、
といった副作用があるためです。

子宮内膜が薄くなってしまうと着床しにくくなりますし、
精子と卵子が出会う手伝いをしてくれる頚管粘液が減ると、受精しにくくなります。

排卵しやすくなるという大きな利点はあるものの、
逆に、受精や着床に関して欠点がある薬なので、
使う時には上手につきあうことが必要です。

こういった欠点を避けるために、
5~6周期使った後は、注射など他のお薬に変更される先生が多いようです。

クロミッドを飲んでいて、
・生理が減ってくる
・排卵期のおりものが減ってくる
などの症状に気づいた場合は、早めに先生に相談してください。

「生理5日目から5日間」飲む理由

通常は1個の卵胞が大きく育って排卵しますが、
生理1日目の段階では、まだ小さい卵胞が何個かあります。

生理5日目頃に、
何個かある卵胞のうち1個だけが残り、
それが大きくなっていくのです。

1個だけ残る卵胞(主席卵胞と言います)がまだ決まらない、
生理5日目以前にクロミッドを飲み始めると、
卵胞が1個だけではなく、何個も大きく育ってしまうのです。

そうなると、双子や三つ子のリスクが高くなります。
だから、5日目から飲み始めるのです。

「えー!私、5日目から飲み始めたけど、卵胞が3つできちゃったよ~」

と言う場合もあると思いますが、
これは、卵胞の育つスピードに個人差があるためです。

逆に、体外受精の採卵周期など、
わざとたくさん育てるために5日目以前から飲み始める場合もあったりします。

クロミッドを飲み始める時期によって、
育つ卵胞の数がある程度コントロールできるのです。

『クロミフェン』(クロミッド)の効き方

クロミフェン(クロミッド)の効き方をご存知ですか?

その前に、卵胞ホルモンであるエストロゲンがどうやって出るか?
まずそれを知っておいてほしいのです。

図で説明しますね。

さて、エストロゲンはどうやって出るか?

エストロゲンは「卵胞」から出ます。

生理初日から排卵日にかけて卵胞が大きくなると、
エストロゲンが出る量もどんどん増えます。

この卵胞を大きくするのが、
脳から出される卵胞刺激ホルモン「FSH」(Follicle Stimulating Hormone)です。
FSHは、卵胞を刺激して大きく育てるホルモンです。

【エストロゲン分泌の流れ】
・脳からFSHが出る
・FSHが卵胞を大きくする
・卵胞からエストロゲンが出る

エストロゲンは、
子宮内膜を厚くしたり、
排卵期のおりものを増やして精子が子宮に入れるようにしたりなど、
妊娠するために大切な働きをしてくれます。

エストロゲンは「鍵」だと思ってください。

受容体という鍵穴があって、
そこに鍵であるエストロゲンがカチッとはまることで効果を発揮するのです。

子宮内膜やおりものを出す細胞には鍵穴(受容体)がついていて、
そこに鍵(エストロゲン)がはまると反応するわけです。

脳にも、この鍵穴(受容体)がたくさんあって、
鍵(エストロゲン)がはまる数でエストロゲンの量を判断しています。

「10個の鍵穴のうち、3個しか鍵(エストロゲン)がはまっていない。ということは、鍵(エストロゲン)が足りないんだ。卵胞がまだ小さいんだ。だったらもっとFSHを出して卵胞を大きくしてやろう」

とか、

「10個の鍵穴全部に鍵がはまってるから、もう鍵(エストロゲン)は十分だな。FSHを止めて卵胞を育てるのを中止しよう」

などの判断を脳がしていると考えてみてください。

『クロミフェン』(クロミッド)が効く仕組み

『クロミフェン』(クロミッド)が効く仕組みを図で説明します。

クロミフェンは、実は「ニセ鍵」です。

本物の鍵(エストロゲン)に似ているので、
「ニセ鍵」が鍵穴(受容体)にはまって穴をふさいでしまうのです。

そうすると本物の鍵は鍵穴に入れず、
効果を発揮することができません。

脳にある鍵穴をニセ鍵がふさいでしまうと、
「エストロゲンが足りない」と脳は勘違いをします。
そして、卵胞を育てるためのFSHをどんどん出します。

それで、卵胞がどんどん大きくなるというわけです。

クロミフェンはこんなふうにして
卵胞を大きく育てて排卵させてくれます。

ですが、鍵穴(受容体)をニセ鍵(クロミフェン)がふさぐせいで、
困ったことも起きてしまいます。

それが、副作用です。

効くから副作用『クロミフェン』(クロミッド)

脳にある鍵穴だけをニセ鍵(クロミフェン)がふさいでくれれば問題ないのですが、
なかなかそうはうまくいきません。

脳以外にある鍵穴、
子宮内膜や子宮頚管にある鍵穴も、ニセ鍵(クロミフェン)がふさいでしまうのです。

そうなると、
本物の鍵(エストロゲン)が子宮内膜や子宮頚管にある鍵穴にはまることができず、
効果を発揮することができません。

だからエストロゲンが足りない状態になってしまい、
子宮内膜が薄くなったり、
排卵期のおりものが減ってしまったりするのです。

クロミフェンが効果を発揮する仕組みそのものが、
かえって副作用を引き起こしてしまうのです。

【クロミフェンのメリット・デメリット】
・メリット :卵胞を大きくして排卵させる
・デメリット:子宮内膜を薄くし、おりものを減らす

クロミフェン(クロミッド)を使う場合は、
上記メリット、デメリット2つのバランスを見ながら使う必要があります。

個人差がありますが、
一般的には5~6周期以上続けて使うと、
デメリットが大きくなっていくと言われています。

クロミフェンで薄くなってしまった子宮内膜は、
回復するまでに時間がかかりますから注意しましょう。

だからといって、
治療を止めてしまうよりも注射(HMGなど)を使う治療を続けたほうが、
子宮内膜の回復が早いとも言われています。

自己判断で治療をやめてしまう前に、
まず主治医に相談しましょう。

 

おまけなちょっとマニアックな話

クロミフェンについて調べてるうちにわかった

マニアックな話をおまけで。

ちょっとここは薬剤師っぽい専門的な話です。


??だんだん子宮内膜が薄くなるのはなぜ??


クロミフェンを継続使用していると次第に子宮内膜が薄くなっていきます。

それはなんでなんだろう?

という疑問がありました。

服用したクロミフェンが血中に蓄積していくためかと思ったら、

半減期(薬が半分に減る時間)は58時間で、

5日間服用すると2週間位で血中からほぼ消えます。



実は、クロミフェンが効き続けて子宮内膜が薄くなるのではなく、

子宮内膜が低温期に増殖していくのが阻害されてしまうと、

高温期にさらに厚くなることができず、

そのまま生理を迎えるそうなんですね。

薄い子宮内膜の状態で生理を迎えると、

残るはずの子宮内膜まではがれてしまう。

そうなると、次の周期は更に内膜が薄くなり、

次の生理ではさらに残るべき子宮内膜がはげていく。

そうなると、次の・・・という感じで、

必要な子宮内膜まで繰り返しはげてしまうことで、

クロミフェンを長期間続けると、

子宮内膜が薄くなるそうなんですね。



となると、月経量が減ってきたら、

すぐに対応する必要があるように感じました。

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