今日は冬至です。

1年で一番昼が短くて、夜が長い日で、

夏から秋、秋から冬へとだんだんと短くなっていた昼が、次第に長くなっていき、だんだんと長くなっていた夜が次第に短くなっていく。

そんな境の日が冬至です。

 

一陽来復

この冬至のことを指して『一陽来復』とも言います。

これは、

冬が終わり春が来ること。新年が来ること。また、悪いことが続いた後で幸運に向かうこと。陰の気がきわまって陽の気にかえる意から。▽もと易えきの語。陰暦十月は坤こんの卦かにあたり、十一月は復の卦にあたり、陰ばかりの中に陽が戻って来たことになる。「復」は陰暦十一月、また、冬至のこと。

（ 三省堂新明解四字熟語辞典より）

という意味です。

昔のひとは、この冬至を特別なものとして考えていました。世界各地に冬至を祝う習慣がありますが弱っていった太陽が、また力を得て復活すると感じていたのでしょう。

漢方には、

「陰極まれば、陽を生ず

　　　陽極まれば、陰を生ず」

という言葉があります。

強くなったものがピークに達すると、その反対のものが生まれるという意味で、大切な漢方の考え方のひとつです。この「陰極まれば、陽を生ず」がまさに一陽来復のことを指しています。

ものごとは、すべてが良いこと、すべてが悪いこと。ということもありません。暗闇に覆われているように感じたとしても、必ず夜は明け、日が昇ります。

自然にはリズムがあります。ひとの体の気の流れも、昼が短くなるのにあわせて、内向きになっていったのが、これから昼が長くなっていくと、だんだんと外に向かっていくようになります。

気の流れは、運気の流れ。

いま何かに悩んでいる方も、今日の日を境に、悪いことが終わって、どんどん物事が良い方向に向かっていく。そんなきっかけの日にしたいですね。

 

女性の体は陰陽のリズムそのものである

昼を陽、夜を陰とする陰陽のバランスは、自然界のあらゆる場所に存在します。

漢方では、この陰陽のリズム、調和をとても大切にしていて、病気や症状はこの陰陽バランスの崩れが根本にあると考えてきました。

女性の体というのは、この陰陽のリズムに他なりません。低温期という陰に卵子が育ち、陰がピークに達すると排卵し陽が生まれ高温期になる。そして、卵子が精子と出会い着床すると妊娠します。

陰と陽がめぐり、およそ29.5日という月の満ち欠けと同じ周期が生理周期です。そしてこれが、人間が誕生する生命のリズムの根幹に他なりません。女性の体は自然のリズムとそのままつながっています。

そして、

排卵の日は、陰極まれば、陽を生じる「一陽来復」の日でもあるのです。

 

そう思うと、なんだか今日の冬至という日は、一年という時間の排卵日のようにも感じます。一陽来復という言葉の通り、きっと新しい「良いこと」の卵が生み出されるのでしょう。

赤ちゃんを望みながら、基礎体温表とにらめっこしている方も多いかもしれません。

基礎体温の変化は、あなたの体の中の陰と陽のリズムです。

1ヶ月の変化を見てガタガタしていたり、不安定な基礎体温だったりして、がっかりするかもしれませんが、低温期、高温期は1日1日の過ごし方の結果です。

1日の中に昼と夜という陰陽があり、夜しっかりと眠り、昼元気に活動することで1日の陰陽が整います。

この1日1日の積み重ねが1ヶ月の生理周期に現れます。

そして、1ヶ月の周期を12回繰り返すと1年の大きなリズムになる。

さらにそれは、大きな人生というリズムになっていきます。

長い長い時間もすべて1日という小さなリズムの積み重ねなのです。

漢方という東洋医学の世界にいると、自然のリズムと体を調和させて行くことこそ真髄なのだなぁと感じます。心も体も運気も、自然のリズムに乗っていくと、無理なくうまくいきます。

新しい良い流れが生まれるという一陽来復の今日この日に、改めて自分の生活を見つめてみませんか？

きっとそれは、未来の「良いこと」の大きなきっかけになります。

 

漢方薬剤師　堀江昭佳