妊娠力を高めたい!活性酸素とルイボスティーの抗酸化作用について

  • 不妊治療・婦人科

「妊活中は、ルイボスティーがいいらしい」。

このような話を聞いたことがある方もいると思います。

また、健康維持に関心の高い方からも注目が集まり、国内販売量は増加傾向です。

現在では、ペットボトルやティーバッグなど様々な形で販売されています。

では、なぜルイボスティーが妊活中の方に好まれるのでしょうか?


そこで今回は、

・ルイボスティーとはどのようなお茶なのか

・ルイボスティーの成分と特徴

・活性酸素が卵子に与える影響

・ルイボスティーがもつ抗酸化作用とは

・ルイボスティーは妊娠に効果があるのか

についてまとめました。


ルイボスティーが「なんとなくいい」ではなく、根拠をおさえながら理解して、妊活に役立てましょう。

ルイボスティーとはどんなお茶?

ルイボスティーは、南アフリカ共和国が原産のお茶です。

原料となるルイボスの名前は、葉が落ちるときに赤くなることから、「ルイ」(赤い)と「ボス」(藪)を組み合わせて名付けられました。


ルイボスはマメ科の植物で、標高300~600mのごく限られた場所でのみ栽培されています。

他の土地での栽培は、現在のところ成功していません。

ルイボスが育つ場所は、気温差が激しく紫外線の強い半砂漠地帯です。

さらに、収穫までは約2年もの時間がかかります。

このような厳しい環境でも、根を3~5mも伸ばし、地中の水やミネラルを吸い上げて成長します。

このことから、ルイボスティーは「奇跡のお茶」と呼ばれ、何百年も前から南アフリカの人たちに親しまれてきました。

現在でも、ポピュラーな飲み物としてレストランや家庭で飲まれています。


ルイボスティーは独特の風味がありますが、ほのかに甘みもあり後味はさっぱりしている点が特徴です。

飲みやすいように、フレーバー付きのものも販売されています。

ルイボスティーの成分と特徴は?

ルイボスティーは古くから人気のある飲み物ということが分かりましたが、実際にどのような成分が含まれているのでしょうか?

ルイボスティーの特徴とともにご説明していきます。

・豊富なポリフェノール

ルイボスティーには、豊富なポリフェノールが含まれています。ポリフェノールは植物の色素や苦みとなる成分で、健康維持にも役立つと言われています。

・低タンニン

タンニンはポリフェノールの一種で、口に入れると渋みを感じます。
お茶の渋みは、このタンニンの影響といわれています。
ルイボスティーに含まれるタンニンは、他のお茶に比べて少なめなのが特徴です。
これが、ルイボスティーの飲みやすさに繋がっています。

・ミネラル

他のお茶に比べて、ルイボスティーはマグネシウムやカリウムなどのミネラルを多く含んでいます。ミネラルには、体調や体の生理機能を整える作用があります。
不足すると、だるさやむくみなどの不調をまねくと言われています。

・ノンカフェイン

ルイボスティーには、カフェインが含まれていません。
夜寝る前でも気にせず飲みたい方や、年齢を問わず家族全員で飲みたい方にも選ばれています。

・ノンカロリー

ルイボスティーのエネルギー量は、0キロカロリーです。
つい食べ過ぎてしまう方や、体型が気になる方にも選ばれています。

・抗酸化作用

ポリフェノールが豊富に含まれていることにより、ルイボスティーには高い抗酸化作用があるといわれています。

この抗酸化作用が、妊娠力を高めるとされる理由のひとつです。
詳しくは、後ほど解説します。

細胞に影響を与える活性酸素とは?

ルイボスティーの抗酸化作用は、活性酸素を抑える働きがあるとされています。

では、活性酸素とはどのような物質なのでしょうか?


活性酸素は、老化の進行に影響を与える「酸化ストレス」の原因となる物質です。

過剰に生成されると、様々な疾患の原因になると言われています。

「活性酸素は悪いもの」というのが一般的なイメージですが、必ずしもそうではありません。

私たちの体に、必要なものでもあります。

活性酸素の良い面について具体的に挙げると、

・排卵するときの卵胞破裂に関わっている

・妊娠しなかったとき、次の生理周期の卵胞発育に向けて速やかにプロゲステロンを低下させる

という役割があります。

このように、活性酸素があることで卵巣機能がスムーズに働いています。

また、細菌やウイルスから体を守るという重要な働きもあります。

大切なのは、活性酸素が増え過ぎないことです。

活性酸素が増える要因には、紫外線やストレス、激しい運動、喫煙、加齢などがあります。

活性酸素が卵子にどう影響するの?

上述の通り、卵子は排卵するときに活性酸素の影響を受けやすい状態にありますが、体には卵子を守る物質がもともと含まれています。

それが、活性酸素を消す消去酵素や抗酸化物質で、卵胞内にあります。

これらの物質のおかげで、活性酸素の影響を受けつつも卵子の質は保たれ、受精・着床します。


しかし、何らかの理由で活性酸素が過剰になると、酸化ストレスにより卵子の質が低下し、受精しなくなります。

これが、妊活中の方にとって懸念される活性酸素の悪影響です。

 

ルイボスティーの抗酸化作用とは?

妊活中は、なるべく活性酸素を少なくして卵子を良い状態に保ちたいと思いますよね。

そこで注目されているのが、ルイボスティーの抗酸化作用ということです。


抗酸化作用とは、活性酸素を消去する作用のこと。

ルイボスティーには、抗酸化物質であるフラボノイド(ポリフェノールの一種)が豊富に含まれています。

なかでも注目されているのが、アスパラチンです。

アスパラチンは、ルイボスティーだけがもつ成分で、他のフラボノイドよりも高い割合で含まれています。

アスパラチンには高い抗酸化作用があり、以下のような研究結果が明らかになりました。

 

・広島工業大学による研究データ

健常な男子学生8名を対象に調査。

昼食後2時間後に水またはルイボスティーを飲み、その1時間後に高強度運動(シャトルラン)を実施。

運動後に生体の抗酸化能力を測定した。

水を飲んだ場合は抗酸化活性値が低下したが、ルイボスティーを飲んだ場合は著しい低下がみられなかった。


この研究結果から、ルイボスティーには抗酸化作用があり、活性酸素を効果的に消去する作用が指摘されています。

ルイボスティーは妊娠に効果があるの?

では、この何かと話題に上るルイボスティーですが、妊娠には効果があるのでしょうか?

結論から言うと、効果があるとは断言できません。

理由は、ルイボスティーが食品であり、薬と違ってどのくらいの量・濃度・回数を飲めば妊娠できるといえないためです。

また、ルイボスティーは様々な種類が販売されています。

商品によって成分も異なるため、特定の効果があるとはいえません。


しかし、これまでの説明の通り抗酸化作用はあると考えて良いでしょう。

妊活中で、体調管理のひとつとして取り入れたいという方には向いています。

加えて、活性酸素を抑える生活習慣もポイントです。

活性酸素が増える要因は様々ですが、紫外線やストレスなどは意識すれば防げます。

適度にストレスを発散させながら、健康的な生活が送れるように意識しましょう。

 

【まとめ】

ルイボスティーには抗酸化作用はあるものの、飲んで妊娠力が向上するとまでは言えません。

妊活中は、妊娠に効果があると噂されているものを試したくなったり、自分にできることは全てチャレンジしたいという気持ちに駆られるものです。

しかし、根拠のない噂に惑わされて、ストレスになってしまっては意味がありません。

ルイボスティーの味が好きで飲み続けたい、ミネラルも補給したいなど、あくまで体調管理の一環として利用するというのが、今のところの正解と言えそうです。

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<出典・参照元>

Sankei Biz ルイボスティーの健康・美容効果に注目!エイジングケア効果が期待できる「抗酸化作用」広島工業大学生命学部の研究結果も

日本産科婦人科学会雑誌 1)生殖機能調節における活性酸素の役割

基礎老化研究 活性酸素の生理機能-エネルギー代謝亢進の解除時における活性酸素の生成亢進-