【自分で治す婦人科講座「卵巣のう腫・卵巣の働きを学ぶ」後編】

  • 婦人科講座

「自分で治す婦人科講座」

産婦人科医の駒形依子先生と、婦人科専門の漢方薬剤師の堀江昭佳が、
西洋医学と東洋医学の両面から、病気について説明するこの講座。

今回のテーマは 「卵巣のう腫・卵巣の働きを学ぶ」

中編につづく後編です。

今回は、卵巣のう腫の種類と対処法、
さらに、女性の体に大切な「排泄力」についてお伝えします!

 

「良性」卵巣のう腫、その種類と対処法

 

依子
良性卵巣のう腫には種類があります。

〈1〉チョコレートのう胞・内膜症性のう胞(古い血液がたまっている)   

〈2〉漿液性のう胞(サラサラした液体がたまっている)
   粘液性のう腫(ドロドロした液体がたまっている)    

〈3〉皮様のう腫・デルモイド・奇形腫(髪の毛、歯、脂肪などが入っている)

 

依子
〈3〉の場合は、髪の毛や歯が消えてなくなることはないので、手術しかないです。
依子
〈1〉〈2〉の場合は、大きさによるんですけど、基本的に卵巣のう腫の手術適用は、産婦人科のガイドラインによると、(腫瘍の大きさが)5cmを超えてきたら手術しましょうとされています。
依子
なんで5cmかっていうと、4cm5cmが捻転しやすいと言われてるからです。
依子
捻転っていうのは、グルンとねじれて、そこに血流がいかなくなって、ものすごくおなかが痛くなるやつです。
依子
5cmを超えてくると、破裂のリスクが高くなって破裂しやすいです。
依子
どのくらいのペースで大きくなるかにもよりますけど、捻転と破裂は、(卵巣のう腫が)急に大きくなれば、パンと破裂します。
依子
この時に、(卵巣のう腫の)中身がおなかの中にブワーッと出るくらい破裂するか、ちょっと切り込み入れたくらいに破裂するかというのも、大きく関係します。
依子
パーンと弾けちゃうと、ものすごくおなかが痛くなるので、(患者さんは)救急車で運ばれてきます。ちょっと切れ込みが入ったくらいだと、何となくおなかが痛いなという感じで、普通に外来に来られます。
依子
ちょっと穴が開いたくらいだったら、(卵巣のう腫の)中身が漏れ出てこなければ、そのまま様子を見ます。
依子
漏れ出たのを様子見する場合は、癒着で穴がふさがることを期待するので、次におなかを開ける時は手術が大変です。
堀江
うーむ。
依子
破裂とか捻転しちゃった場合は緊急手術になるので、ほとんど開腹手術になります。
依子
早めに予定を組んで、早めに手術をするのがだいたいの流れです。
依子
特に〈2〉〈3〉は癒着しにくいんです。炎症を起こしにくい。つまりは捻転しやすいんです。クルクル回りやすいから。

 

堀江
そうか。癒着するってことは固定されるってことね。
依子
そう。
堀江
だから(癒着すれば)捻転もしないし、動かないんだ。
依子
そう。〈1〉は月経の度に炎症を起こすから、つまりは周りの組織が癒着しやすくなる。捻転はしにくいけど癒着しやすいので、手術が難しくなる。だからピルを勧めます。
依子
卵巣のう腫の中でピルが効くのは、「チョコレートのう胞」と「内膜症性のう胞」だけです。
依子
それ以外の、液体がたまってる・髪の毛がたまってるパターンには、ピルは全く意味がないので、〈2〉と〈3〉に関しては、ほとんど手術しか手がないです。
依子
サラサラの液体も粘液性の液体も、そもそもたまってるものは、卵管とか卵巣の分泌液なんです。
依子
体の構造を考えれば、たまっているものはもともと自分が排出しているもの。それが排泄する場所を失ってたまってるだけなので、排泄力を上げることが大事です。

女性の体に大切な「排泄力」

 

お客さま
排泄力ってなんですか?
依子
排泄というのは、便・汗・尿・出血でしかないのね。それらを出す力です。汗をかきにくい、尿が少ない、便秘っていう時点で排泄力は下がってるんです。
依子
これでよく勘違いされるのが、「生理の量が多いってことはたくさん老廃物が出てるってことだから、生理の血が多いのはいいことですよね?」って言う人がたまにいるんですけど、あれは間違いです。
依子
出血の中には大事な栄養素がたくさん入っているので、出血はデトックスではなく、大事な栄養素を失ってるだけです。
依子
生理がデトックスだっていうのは、いらなくなった内膜を排出するっていう、いらないものを排出するということ。
依子
日常生活の老廃物は、便・汗・尿の3つでしか出せません。
依子
これらがしっかり出てないと、「排泄力が下がっている」ということになります。
堀江
みんな出てないんだよね。すごくそれは感じる。汗かいてないし、便秘の人も多いし。
依子
そう。むくみたくないから水分とらない。だから汗も出せない。
堀江
そう!水分、水分!
依子
取る水分が少なければ汗も出せない。

 

堀江
(お客さまに向かって)水飲みたくない人います?(カウンセリング時に)結構言われる。「私、水飲みたくないんです」って。

堀江
水が飲めないのは、そもそも出てないから。ほしくないんですよ。全部老廃物になって(体に)たまってるから飲みたくないんです。
堀江
ほしくないから飲まない、というのはいいんだけど、本来出すべきものを出せてないから欲しくないの。
依子
そう。出せないから、ほしくない。
依子
味がないと飲めない人は、老廃物がたまりまくって味覚が変化してるので、「白湯の味がおいしくなった」というタイミングが、うまくデトックスできたっていうサインかな。
堀江
なるほどね。すごくわかりやすい。
依子
みんなお茶とかコーヒーを飲んで、利尿作用でおしっこを出してるけどね!
依子
出したくないのに利尿作用で無理やり出されるから悪循環になるんだよね。で、脱水になる。でも体は出したくないから、ためこむ方に向いて、むくむ。
依子
だから、飲んでも飲まなくてもむくむんだったら「お水飲んで」って感じ。
依子
「白湯飲んで」って言っても「おいしくないから嫌です」って言われた瞬間、私は説明する気がなくなる。おいしくなったら来てって言いたい。
堀江
(笑)
依子
「白湯がおいしい」って感じる人は大丈夫、と言いたいけど、「おいしい」の基準が違うからなんとも言えないけどね!
依子
だから排泄力が下がっている人は、便・汗・尿を出すしかないんですけど、これがどのくらい整ったらのう腫が小さくなるかっていう評価にはならないんです。

「卵巣のう腫ができた」その後、目指すゴールは?

依子
のう腫を小さくすることを目指すと、エコーで診る度に「小さくなってない……」って凹んで悪循環になるので、「(のう腫が)大きくなってない」ということを目指してもいいかなと。
依子
捻転とか破裂って、寝てても起きるんですよ。何かをしたから起きるとかじゃなくて、捻転する時はするんですよ。破裂するときはする。
依子
それが、おうちでするか出先でするかの推測はできないので、そういう不安が嫌な人は早めに手術をしましょう。
堀江
よりちゃん的には手術はした方がいい?
依子
うーん。結婚してるかどうか、妊娠希望があるかどうか、で変わるかな。
堀江
〈3〉の場合は(手術を)した方がいいよね?
依子
それは100%手術した方がいい。もし破裂したとしたら、中から出るものは異物でしかないから、炎症が強いんですよ。 漏れ出た時点で癒着がひどくなっちゃうので、早めに手術した方がいい。
依子
手術も、開腹なのか腹腔鏡なのか、摘出なのか核出なのかによります。
依子
摘出っていうのは、卵巣ごと取ること。
依子
核出っていうのは、正常な状態の卵巣を残して腫瘍だけ取ること。
依子
一ミリも再発させたくないなら摘出がオススメ。核出は再発の可能性が残るので。
依子
年齢や、MRIで調べて悪性が疑われるかにもよりますけど、腹腔鏡手術を選択しても開腹手術に変わることもあるから、インフォームドコンセプト(「十分な情報を得た(伝えられた)上での合意」)は必ず受けることになります。
お客さま
卵巣のう腫の種類はどうやってわかるんですか?
依子
エコーでもMRIでもCTでもわかります。全然見え方が違うので。
依子
悪性かどうかの評価はMRIと腫瘍マーカー検査で見ますけど、それも確定診断ではないので、病理検査に出さないと確定はできない。1%でもがん細胞があればガンになる。手術しないと悪性かどうかはわからないから、手術して細胞を病理検査に出して調べるしかない。
依子
例えば腹腔鏡で手術をする、核出の手術をするとなると、正常の卵巣と腫瘍がある場合、接着面をはがす時に(卵巣のう腫の)中身がでちゃう。その後病理検査でガンだとわかる。そうなるとガンのステージが上がります。
依子
若い子に多いんです。「傷がヤダ」って言って腹腔鏡で手術して、実はガンだ、となって、(ガンの)ステージが上がる人は結構います。
堀江
でも、事前にわかんないもんね。
依子
そう。とってみないとわかんない。
依子
その人がどれだけ内臓を残すことに固執するかどうか、妊娠したいかどうかにもよるし。
依子
そもそも卵巣のう腫を認識している人が少ないんですよ。「お腹痛い→卵巣のう腫だった」ということが多い。10代に多い。いつからあるかがわかんないと言う人が多いです。
依子
破裂・捻転で病院に来る人は、(卵巣のう腫に)気付いてない人が多いです。
堀江
婦人科疾患はだいたい生活習慣病なんですよ。でも生活習慣病は治せるから!
依子
胎児の時から卵巣のう腫があることもあるけど、後天性のものは全部、生活習慣病です。アトピーとか生理痛もそう。
堀江
だって、おかしいもん。こんなにアトピーがあるわけないもん。
依子
産まれてすぐアトピーなんてないし。
堀江
生活習慣病で食べ物が悪いとかいうけど、だいたいは無理しすぎ!
依子
何を食べようが、結局胃腸の状態が良ければ全部対応できるから。いつもの話になるけど、胃がちゃんと働けば腸に負担はかからない。排泄するエネルギーがないから、そうなるんです。
堀江
そうそう。疲れてると、今の状態を治すことに精一杯だから、病気も治せないんだよね。目覚ましで無理やり起きて、「は〜……」みたいな感じで生活してたら病気も治らない!
堀江
朝、目覚ましがなくてもパチっと目が覚めて「はい、今日も一日始まります!」だと治るんだよ。そのためには仕事も早く切り上げないといけないし、22時23時にごはん食べてたら治んない!
依子
目が覚めるタイミングが「体のメンテナンスが終わった」ていうサインだからね。
堀江
そうそう!そうなの!

 

婦人科トラブルを防ぐために

 

堀江
だから排泄力、すごい大事。高いサプリとかいろいろあるけど、そこにお金をつかうより、普段の生活が大事。それをやめてでも残業やめてって感じ。疲れを取るのが大事。
堀江
もちろん食事も大事。買い物も大事。それより一番大切にするべきは自分の体です。でも、その大切なことがほとんどできてない。疲れて寝るのが遅くなって、朝はなかなか起きられない。その状態だと婦人科の病気はよくならないんですよ。
堀江
女性の体は血流がすべて解決します。(笑)
堀江
血、大事。
堀江
漢方で女性のリズム、ホルモンのバランスを考える時に、支えてくれるものが3つあります。
堀江
腎(腎臓)・肝(肝臓)・脾(胃腸)です。
  • (腎臓)
  • (肝臓)
  • (胃腸)

 

堀江
まずは。生まれ持ったエネルギーだと思ってください。腎の力は若さの源、生殖の力、婦人科の源です。力・エネルギーのことで、「精がつく」っていいますよね?その「精」というのは、この腎の生命力のエネルギーのことです。
堀江
この生まれ持った力を利用して、血も作られます。生まれ持った力に食べ物からの栄養素が加わって血が作られる、と漢方では考えます。
堀江
作られた血は今度、(肝臓)に蓄えられます。貧血を治すにはレバーを食べなさいってよくいいますよね。それは、肝臓に一番血が蓄えられているからです。
堀江
肝臓に蓄えられて、その蓄えられた血が子宮をすこやかに保ってくれます。
堀江
漢方では、子宮を血の海といいます。血が海のようにたっぷりの状態になっていて初めて子宮が力を発揮できます。
堀江
でも、みんな血が足りない!カウンセリングでたくさんの方を見てきましたが、足りてる人、ほとんど見ないです。
堀江
婦人科トラブルを抱えている人はほとんど血が足りないんだと思ってください。
堀江
肝も腎も不眠とストレスによって傷ついてしまいます。腎の力は夜蓄えられるんです。朝スッキリ起きられないなら腎が弱ってます。
依子
腎は排泄力だしね。
堀江
そう。だから寝ましょう。ストレスなくしましょう!
堀江
最後は、。胃腸の力、消化のちからのことです。食べたものによって、日々、力を補ってくれます。生まれながらに生命力が強い、弱いということもありますが、脾は後から食べ物によって、たとえ生まれ持った力が弱かったとしても、生命力を補ってくれます。それが胃腸の力です。
堀江
でも、この大切な胃腸がすごく弱ってる、それはなぜか?
堀江
食べ過ぎです。間違いなく食べ過ぎ。三食お腹いっぱい食べて、官職もしてたら、人間の体は食べ過ぎになってしまうからです。
堀江
胃腸が元気だと、健康な状態だから食べたものがきちんと消化吸収されるでしょ? でも弱ってると、きちんと必要な栄養素が取れない。
堀江
まず、おなかをすかせることが大事。その時、胃腸は掃除されます。おなかが空っぽになるのに16時間くらいかかるんですね。だから、時々16時間おなかを空っぽの時間をつくってあげてください。とはいっても16時間食べないでいるのはなかなか難しいと思うので、毎日はしなくていいですよ。
堀江
朝起きたとき、スッキリ起きて、おなかがすいているかどうか。それを目安にしてください。
堀江
寝たとしても、生まれ持った力は変えられない。腎が弱くても脾は強くできます。そんなに「体にいいこと」なんて一生懸命やらなくていいです。「体にいいから」と思って、無理やり食べてもストレスになるだけです。これ食べなきゃいけない、ってやると悪影響になる。
堀江
おなかをすかせる、そして出す。お通じ大事なんですよ。出ないと入れられないから。
堀江
飲み物も一緒です。汗をかかないから飲みたくならない。人間のからだはめぐり。のどが乾かないってことは出てないってこと。出てないと、体は淀みます。水も外に置いといたら腐るでしょ? 人間も同じです。
堀江
だからちゃんと汗をかく、おしっこを出す、うんちを出す。こういうことこそ大事なことです。
堀江
おなかをすかせてあげると胃腸の掃除ができるんですね。食べないでおくと掃除をしてくれるので、掃除ができる。だから出るんですよ。いつも食べてると掃除ができない。だから便秘にもなりやすい。
堀江
いつまでたっても婦人科トラブルが治らないのは、血が足りてないからなんですね。じゃあどうすればいいか?寝る、おなかをすかせる、食べる。まずは基本的なことを大切にしてください。そうすれば、少しずつでも血が増えていきます。そうすると、体は自然と良くなる方向に向かっていきます。
堀江
治療はがんばってやるものでもないし、つらいことでもないんです。
堀江
「夜どうやったらぐっすり眠れる?」「仕事で遅くならないようにするにはどうすればいい?」「仕事で無理しない!」まずはそこから。残業っておかしいから。日本だけ!こんなに長時間労働していて睡眠時間が少ないのは。
堀江
病気はサインっていうじゃないですか。生活習慣病みたいなところがあるから、どうしても仕事とか生き方を考えないわけにはいかないんですよ。
堀江
見直してあげるといいんですよ。だって痛いこととかしたいわけじゃないですよね。シンプルなことがすごく大事。その後に『ご縁授茶』飲んで、って感じ。
堀江
ついつい、他の人と比べて、自分の症状はひどいとか、よくならないとかしてしまいがちですけど、比べるべきは他人じゃありません。昔の自分と比べてください。自分の体が前と比べて少しでも良くなってたら、それはきちんと努力の成果が出たということです。自分の成果を認めてあげてくださいね。人と比べてる必要なんてないですから。
堀江
今までよりも早く寝られたよね。今まで遅くなってたけど30分早く帰れたよね。そのくらいでいいんです。
堀江
比べなくても大丈夫!前よりちょっとよくなればいいので、それが始まりです。
堀江
とてもシンプルなことだけど、シンプルなことほど大事です。お金もかかりません。やるときちんと効果があります。どんな特殊な治療より、大金をかけた治療よりも、はるかに大事です。
堀江
快の反対は、倦怠。疲れです。
堀江
実際、疲れた状態になると、心地よいことを感じなくなるんですって。そうなると何がしたいかわからない、いやなことがやめられない。
堀江
なぜか? 疲れてるからです。そうなると人生何のために生きているのかわからなくなっちゃう。
堀江
疲れないって大事。朝気持ちよく起きられるって大事。その他いろいろあってもいいですから。
堀江
でも、できそうでしょ?大切なのは特殊なことじゃなくて、すごくシンプルなことなんです。

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

〈前編〉〈中編〉〈後編〉にわけてお届けしました【自分で治す婦人科講座】〜

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