子宮腺筋症ってどんなもの?【自分で治す婦人科講座「子宮腺筋症」前編】

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産婦人科医 依子先生と語る「自分で治す婦人科講座」

病気を知ることは、自分で治すための大切な一歩。

病気やその症状で悩んだ時、病院に行きますよね。
病院にいって「あなたはこういう病気です」と言われる。

だけど、その病気のことをよくわかっていなかったり、
治療の選択肢をよく理解しないまま治療をしていたり。

いろいろ聞きたいことがあるけれど、
結局お医者さんには質問できない──。

それはすごくもったいないことだと思う。
そんな想いから始めた「自分で治す婦人科講座」

産婦人科医の駒形依子先生と、婦人科専門の漢方薬剤師の堀江昭佳が、
西洋医学と東洋医学の両面から、病気について説明します。

さてさて、今回はどんな内容だったのか?
早速現場の様子をお伝えします。

 

今回のテーマは、「子宮腺筋症」です。

◆痛みを和らげることが大事

堀江
子宮腺筋症は痛いですよね。漢方のお客様で、自分のパンチで痛みをごまかすという方もいらっしゃるんですよ。
堀江
今日の目標は、「今よりも楽になる。今よりも痛み止めが減る。今より辛さが和らぐ」これを一つ置いてもらえるといいかなと思います。
依子
そうだね。
堀江
今より痛みがなくなれば、妊娠にしても治療にしてもゴールに近づく印象がすごく強いです。
堀江
「子宮腺筋症」とはどんなものなのか? 最初に僕が、生理の仕組みなど基本的なことをお話しします。一般的なお話だけど、ある程度概念としてわかってから話を聞くのではだいぶ違うと思うから。
堀江
普段病院に行って、先生にいろいろ言われて。そんな時、頭真っ白になりません? 今日はそれをここでゆっくり聞けるので、ぜひ遠慮なく聞いてください。ドクター側からの話ってめったに聞けないので、ぜひ!
堀江
よりちゃんの方から何かある?
依子
ないです。
堀江
ぶっきらぼうに見えるけど大丈夫ですから(笑)

 

◆子宮腺筋症の子宮はどんな状態?

依子
子宮腺筋症の子宮は、本来子宮内膜にあるものが、子宮の筋肉の中に霜降り状に入っている状態です。人によっては子宮の後ろ側だけ霜降りのこともあるし、前側が腫れている人もいます。
依子
とりあえず、正常な時より子宮は大きいです。なぜ大きいかというと、生理の時って内膜が厚くなるんだけど、霜降り状になった子宮腺筋症の部分は筋肉の中で厚くなって出血するからさらに子宮が大きくなる。生理の度に子宮が内出血して浮腫んで大きくなってるんです。
依子
内出血したところって痛いじゃないですか。青くなるでしょ?それと同じです。厚くなった内膜は普通は下に出ていくんですけど、子宮腺筋症の内膜は外に出られないので、毎月厚くなっていくんです。生理が来る度内膜が厚くなるので、子宮が大きくなって、子宮が腫れている状態になります。「子宮の後ろ側が腫れている」という言い方をします。
堀江
子宮が大きくなる理由は、あざ一つ一つが大きくなるから?
依子
そう。腫れているところがあるから子宮がいびつな形になるのね。だから子宮筋腫って診断される人もいるの。子宮筋腫って言われるけど実は子宮腺筋症だった、という人もいる。MRI検査をするとわかります。
依子
前の病院で子宮筋腫と言われた、でも私がみると子宮腺筋症。そうなるともうわからないんだよね。病院変わるとわからなくなるので、検査自体全部一からやり直しなんだよね。
依子
エコー検査よりMRI検査が重要。MRI取れば、子宮筋腫か子宮腺筋症かはすぐわかる。
堀江
エコーだけだとわからない?
依子
妊娠すると変性することがあるから、わからない。
依子
子宮腺筋症は、内膜の際(きわ)が剥がれる時に出血するので、痛みも多いし、なんでここに内膜が混ざってるの?となるじゃないですか。剥がれ落ちなかった内膜は一旦吸収して、リンパ節を使って排出する、と体は考える。なぜ際に内膜が残るのかというと、そこが硬いからなのね。
依子
卵巣嚢腫は、胎児の時からなっていることはあるけど、子宮筋腫も子宮腺筋症も生まれつきあるってことはめったにないのね。だいたい後天性なんです。内膜がふわふわになるってことは、あったかくて血流がいい状態だから、剥がれる時もほろほろって剥がれるんです。そうじゃない内膜は冷えてるせんべい布団と同じだから!

 

依子
そもそも重いし、ふわっふわじゃないから羽毛布団じゃないんですよ。何年も寝て、外に干してないやつみたいに硬いの。重いし。
堀江
ふふ……みなさんがせんべい布団って言ってるわけじゃないですからね(笑)
依子
イメージ、イメージですよ。ふわふわじゃないから、剥がれるのがしんどいんです。ふわふわの内膜はきれいに剥がれるんです。だけど、子宮内膜症とか月経過多とか生理痛がある人っていうのは、ピリピリって取れないからグワって取ることになる。ビーって剥がれるから傷が深くてめっちゃ出血するんです。そうすると痛いんですよね。
依子
子宮の出血は、お産と同じで自分自身でしか止められない。誰にも止められない。だから自分で収縮して、傷ついた血管を圧迫して、自分で出血を止めるしかないの。たくさん出血する時って、自分の命が危ないから、たくさん収縮して止血しようとして収縮の回数が増える。だから痛みも強い。そもそも青タンだらけだから痛みが倍になっちゃうの。
堀江
生理が悪い状態だと悪化する?
依子
そう。ふわふわの内膜じゃないと妊娠できない。だからがんばって内膜を厚くしようとするけど、ふわふわにはならず、厚い冷たい布団になる。せんべい布団が厚くなるだけ。
依子
この状態で不妊治療をすると、さらに内膜を厚くするホルモン投与をされるでしょ?そうするとさらに自分がしんどくなる。そのまま妊娠すればいいよ。一回目ホルモン投与して妊娠すれば、生理がないから子宮内膜症自体は楽になるけど、妊娠しなければ、今度は生理がしんどい。
依子
妊娠してないってわかれば痛み止めを使えるけど、痛み止めは解熱鎮痛剤だから体の熱を下げるんです。あれは熱がなくても体の熱を下げるんですよ。だから余計体が冷える。悪循環。経血の量がどんどん増えて、痛みもひどくなる。
堀江
経血の量が増えて生理痛がひどくなるのはそういうことなんだ。
依子
そう。例えば、子宮体がん疑いの場合に、細胞を取るために掻爬(そうは)するでしょ?これは私の感覚なんですけど、掻爬するときに、子宮腺筋症の子宮の方が時間がかかるんです。結局、傷が深いということは、毎回生理がくるたびに炎症が起きるわけですよ。その部分は治るまでに時間がかかる。だけどすぐまた生理がくるってなると……
堀江
かさぶたを毎回はがしてる感じ?
依子
そう。結局、酵素がうまく働くのは37℃前後じゃない?体が冷えててそもそも酵素もうまく働けないからうまく溶けないし、うまく剥がれないから残るし、悪循環。
堀江
内出血も起きてるから、本当に来てほしい温かい血が来ないんだよね。血流も悪い。
依子
そうそう。いらないものを排出する血流も少ないから、古い出血がたまってどんどん子宮が腫れて、どんどん紫色になっていく。
堀江
子宮の色の話は、おなかを開けた人にしかわかんないよね。
依子
すごくきれいなピンクの子宮が、ひどくなると本当に青あざみたいな感じになって。なんていうか、具合が悪そうに見える。
堀江
子宮が?
依子
そう。顔色が悪い感じ。
堀江
元気な子宮はピンクなんだよね?
依子
そう、元気な子宮はすっごいきれいなピンク!子宮腺筋症の子宮で、前が正常で後ろが腺筋症の場合、色がグラデーションぽくなってるの。
堀江
へ〜!子宮腺筋症の子宮が妊娠した状態でも色はやっぱり青いの?
依子
うん、青っぽい。
堀江
手術の時、子宮に触ると温度は違うの?
依子
おなかを開けて空気にふれる時間が長いとわかりずらくはなっちゃうかな。でも子宮腺筋症の人の膣は冷たい。冷えてる。
堀江
それは診察する時に?
依子
うん。子宮内膜症の既往がある人の膣は、だいたい冷たい。
堀江
こういう感覚って大事だと思うんですよね。教科書的にこうこうって言われるんじゃなくて、実際に子宮や膣を触ってる人っていないじゃないですか。でもよりちゃんは、冷たいとか紫色とかって断言できるじゃない?それがすごいなと思う。
依子
問診票で、2人3人産んでる人の内膜は、熱い。ちょっとゆるんでるけど温度は熱いんだ。

◆痛みは我慢しない

依子
普通の生理の量は、20ー140ml20mlは初潮の時と思ってくれれば。普通の人の子宮は、だいたい大きさが鳥の卵か自分のこぶし大。卵を割っても60mlしか出ないですから、まあそのくらい。分娩の時の正常値は300ml500ml超えたら異常出血。紙ナプキンの夜用は、180−200ml吸収できるのね。だから、昼に夜用ナプキンが一気に埋まるというのは、一回の生理で出る量を超えてるんじゃないかと思う。
堀江
それ、すっごいわかりやすいね!
依子
夜、おむつみたいなナプキンじゃないとダメなんてありえない。
堀江
貧血になるの当然だね。
依子
うん、当然。毎月お産してるのと一緒だよ。一回でナプキンが血で埋まってそれが3日続くとなると、計算できないけど相当出てるんじゃない?
堀江
ナプキンから血があふれるのがどういうことか?考えたほうがいいね!
依子
立った瞬間にバーって出る人が多いけど、一回の生理で出る血の量が140mlなのに、一度にそんなに出るってことは、やっぱりおかしい。子宮は動脈の集まりだから。ひざの内出血だって痛いでしょ?でもね、鎮痛剤を飲むなってことじゃないですよ。ただ、その倍あっためてほしい。痛み止め飲みながらアイス食べるとか、生足とか、まじやめて!って感じ。
依子
痛みがあると体に力が入って戦闘態勢になっちゃってしんどいんですよ。痛みはなくした方がいいです。痛みがあっていいことはないので、倍あっためて痛み止めを飲んでください。
堀江
それすごい思う。みんな飲んじゃいけないと思って飲まないじゃない?あれ、よくないよね。
依子
よくない。
堀江
ちなみに、痛みがひどい状態の子宮って、どんな感じなの?
依子
冷蔵庫で腹筋してる感じ。
堀江
またすごい表現(笑)
依子
しかも毎日運動してるならいいけど、月に一回久しぶりの運動が冷蔵庫の中っていう、筋肉を痛めやすい環境で無茶なことをしてるようなものなのね。子宮腺筋症の人は出血が多いから、最初からフルで腹筋しなきゃならないよね。どんだけドMなのって!せめて暖房つけてほしい。
堀江
なるほど。
依子
厚くなりすぎる内膜をそんなに厚くしないためには、あたためることが大事。体をあたためれば酵素が働くので、そんなに傷が深まることもない。高温期、生理前の体温は37℃くらいあってほしい。古い出血って、血流は通ってないんだよね。
堀江
どういうこと?
依子
古い出血がたまってる、内出血のところは、そこに血は通ってないから冷たいんだよね。あったかい血液が流れているわけじゃないので、冷たい液体だけがたまっていく状態。そうすると余計冷えるじゃない?むくんだ老廃物を排出するにも、細胞が働いてくれないといけないから、やっぱりあったかい状態の方がすべてがうまくいく。

 

堀江
子宮腺筋症の初めって、冷えてる状態で生理がくるからズタズタってなるじゃない?スタートは冷え?
依子
そう。基本、全部冷え。そもそもなんで子宮が冷えるのか?それは、腸が冷えるから。子宮を包んでいるのは腸なので、子宮自体が動いて発熱するのは月に一度しかないから、腸が動いてないとあったまらない。
堀江
そうですよね。食べ方ですよね、みなさん!(笑)
依子
体の血管の走行としては、真ん中から足の先に行って、それが子宮に戻ってくるから、足の冷えもまずい。冷たい血液が子宮に戻ってきちゃう。
堀江
足は体温が5℃低いんだよね。生足してるなんてなんぞやと!
依子
生足じゃなくても冷える人は冷えるんですよ。だからそもそもあっためないとダメ。男の人はいいの、冷たくても。睾丸は33℃でいいから。女の人は、妊娠を希望するならあっためた方がいいかな。
依子
あっためると悪くなんないんですか?と言われるけど、そりゃ最初は体もビックリするし、一時的に悪くなるように見えるかもしれないけど、冷えてるよりは絶対にいいと思うんだよね。子宮腺筋症の状態だと、常にそこに免疫細胞がとられるんですよ。だから全身が手薄になるんです。風邪を引きやすくなったり、鼻炎持ちの人も多い。
堀江
ケガしてるところに免疫細胞とられるもんね。わかりやすい。
依子
生理の時はただでさえ子宮に(免疫細胞を)とられるのに、さらに炎症があるし寒い状態が続くから、ずっと冷えてる状態になる。
堀江
生理の時の子宮は、子宮の表面から血があふれてるんだよね?
依子
そうそう、溢れ出してる。
堀江
これ聞いた時、衝撃だったんですよ。
依子
私も衝撃だった。なんていうか、じわって。子宮パンパン、にじみ出るというか。それを見た時は卵巣の手術だったんですけど、子宮の裏側に血液がたまってて、子宮を動かす度に子宮からじゅわっと血が出てくるの。
堀江
へ〜!

ここで前編は終わります。



講座の途中においしいスイーツタイムがありました♡

ハーブティーとともに……♪

後編につづく