短く不安定な高温期を整えるには、低温期がカギである。〜不妊・婦人科疾患を治す基礎体温の見方 4〜

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不妊・婦人科疾患を治す基礎体温の見方第4回目は、高温期が安定しなかったり、短かったりするタイプを見ていきましょう。

高温期は着床する環境を整えている時期

高温期というのは、体温が高くなる時期です。

そもそも高温期に体温が高くなるのには理由があります。

卵子は卵胞という袋の中で低温期に大きくなって、排卵のときに飛び出します。その抜け殻が卵子が飛び出たときの出血の衝撃で黄体に変化するのですが、この黄体からはプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されます。

高温期はプロゲステロンによって体温が上昇し、子宮内膜がフカフカになり、受精卵が着床できる環境が整えられます。

このプロゲステロンが十分に分泌されているかどうかを判断するのが、36.7度という体温なのです。

基礎体温表をみると36.7度の線が太くなっていたり、赤くなっていたりと目印がついているかと思いますが、それは、高温期は36.7度という体温を超えることが重要だからです。

黄体から出るプロゲステロンの量に比例して、体温は上昇します。分泌される量が少ないと十分に体温が上がりません。つまり、高温期が36.7度を下回っているということは、プロゲステロンの量が不足して、着床するための環境が整えられていないということを意味しています。

ただし、ここで注意してほしいのは、低温期が36.5度を超えるような全体的に体温が高めのひとです。低温期と高温期の差が0.3度以上ないと十分なホルモン量が出ていない可能性があります。低温期の体温が高い場合、高温期の体温の目安は36.7度ではなく、低温期の体温+0.3度を目安にしてください。

 

高温期の期間中は体温が36.7度を超えて続いていることが大切です。途中で36.7度をガクンと大きく下回ってしまう場合は、黄体の力が不安定でプロゲステロンの分泌量が減っている可能性があります。そのとき1回だけとかであれば、体温の測定ミスやたまたまということもありますが、毎周期体温が途中で下がる場合は注意しましょう。

 

体温の高さだけでなく、期間も見ていきましょう。

高温期の期間は9日以上必要です。一般的に妊娠しなければ黄体の寿命は最大で14日間です。14日間を超えるようであれば妊娠している可能性が非常に高くなります。

高温期が9日未満しか続かない場合は、黄体の力が弱いことが考えられます。黄体から出るプロゲステロンは妊娠の継続にとっても重要なので、着床するための環境が整えられないだけでなく、せっかく着床しても継続しにくい原因にもなってしまいます。

 

高温期が安定しなかったり、期間が短い場合、西洋医学的には、

・黄体機能不全

・卵巣機能低下

などが考えられます。

高温期の力が弱い場合は、ホルモン剤(内服薬:ルトラール、プラノバール、膣座薬:ルティナス、注射薬:hCG など)によって人工的にサポートすることができます。

黄体機能不全の病院での診断は、

①基礎体温の高温相が12日未満

②黄体期中期の血中プロゲステロン値が 10 ng/ml 未満
③子宮内膜日付診の異常
のうちいずれか1つでも該当する場合を黄体機能不全と診断されます。
(ただし、プロゲステロンの分泌には波があるため、血液検査だけでは判断がしにくく、近年はそれだけでは診断が難しいとされるようになってきています)

 

高温期は低温期の結果である

よい高温期になるかどうかは、卵胞の質とよい排卵かどうかに左右されます。

よい卵胞が育っていれば、よい黄体に変化し、しっかりとプロゲステロンを分泌してくれるからです。

また、せっかく良い卵胞が育っても排卵がスムーズでないと、よい黄体に変化することができません。

高温期になってから体の状態を気をつけたり、神経質になったりする方が多いですが、それよりも、低温期〜排卵にかけての状態を整えてあげることがはるかに重要です。

東洋医学的な体質改善法

基礎体温がしめすパターンからは、いくつかの体質的な背景を読み取ることができます。全員が全員そうであると言い切れませんが、そうである傾向が高いのです。

あてはまる場合には、そこを切り口にいまの状況を打破できる可能性も高いからこそ、自分の体質をしっかりとみてほしいのです。

1)気血不足

新陳代謝や元気のエネルギーである「気」

血液、栄養、ホルモンのすべてをまとめた「血」

その両方が不足してしまった状態が気血不足です。気は血とともに全身を巡るので血流不足と考えてもらって差し支えありません。

気はエネルギーであり、人間の体の活動を支えてくれていますが、この気が不足するために全身の働きが低下します。特に、婦人科ではホルモンの力強さも意味しているので、気が足りない場合には、女性ホルモンの変化が弱まり、基礎体温がはっきり二層に分かれなくなる傾向があります。

漢方でいう血は、ホルモンのはたらきも指しています。つまり、血の不足はそのままホルモン不足に直結するのです。また、子宮は血の海という言葉が示すように、血がたっぷりあってはじめて子宮・卵巣系のはたらきが正常に行われます。そのため、血が不足すると卵巣機能の低下=弱い黄体に直結してしまうのです。

 

2)脾腎陽虚

脾とは胃腸の働き、腎とは生命力、若々しさや生殖力を意味します。そして、陽は体をあたため活発にするエネルギーであり、高温期を支える力です。

脾腎陽虚とは、胃腸と生殖力が弱り、体を温める力が低下した状態です。初期老化のサインでもあり、足腰の弱りや腰回りの冷えがでている場合には、その体質が強まっていることを示しているので、注意が必要です。

低温期を陰、高温期を陽と漢方では捉え、排卵時期に陰から陽に転換することを陰陽転化といいます。ここでは陰の力が強ければ、陰の力が転換して同じように強い陽の力となることを示しています。

脾(胃腸)と腎(生命力)の力がしっかりとしていないと、この陰陽転化=排卵もスムーズに行きにくくなります。よい排卵が行われることではじめて、卵胞からよい黄体ができ、高温期が安定するのです。

 

気血不足、脾腎陽虚がある場合は、まず体の土台をつくっているのは脾(胃腸)のちからを立て直すことから始めましょう。

体はすべて食べたもので出来上がっています。

気と血は、脾(胃腸)で生み出され、全身をめぐります。胃腸の弱りは、気血不足の直接の原因となるのです。現代の胃腸の弱りの多くは、食べ過ぎに原因があります。痩せていたり、食欲がある場合でも、食べ過ぎによる胃腸の弱りが隠れていることが多いのです。

時間が来たから食事をするということではなく、

空腹になってから、食べる。

ということを徹底してください。空腹になると胃腸は元々備わった掃除機能を発揮し、掃除がはじまります。おなかがグゥゥとなるのが合図です。

おなかが鳴るのは、

「おなかがすいたよ〜」と言っているのではなく、「いま掃除中だから食べないで〜」の合図なのです。

同時に気と血の原料となる食材も積極的に食べましょう。鶏肉を筆頭に肉・魚のタンパク質、豆類・イモ類、玄米、海藻、ほうれん草・小松菜、牡蠣(カキ)・しじみといった貝類などです。

また、陽虚というのは温める力が弱っている状態なので、生姜やシナモンといった体をあたためる食材を取ることも有効です。

体を温めることもおすすめです。脾腎陽虚では、腰回りの冷えが強いことも多いので下半身を重点的にあたためましょう。布ナプキン、おまたカイロ、レッグウォーマーを使うのも良いですし、おへその下と仙骨の両方にカイロを当てるカイロサンドイッチで子宮・卵巣系を前後から温めることをおすすめしています。

 

もうひとつ、低温期の力を高めることで高温期を整えるという意味では、睡眠に気をつけましょう。低温期を支える陰は夜に養われます。つまり十分な睡眠が取れるようになると、低温期によい影響を与えるのです。良い睡眠とは、朝スッキリと起きれる睡眠のことです。

朝スッキリと起きれる睡眠のためには、やはりまとまった睡眠時間が欠かせません。23時までに寝れるように心がけてみてください。どのくらいの睡眠時間が適切かは個人差もありますので一概に言えませんが、起きた時にスッキリ起きれないのは、自分にとって睡眠不足であるというサインです。自分自身の適切な睡眠時間をまずはたっぷり寝るということころが探っていきましょう。

 

食事の改善と温めること。

シンプルなことのようですが、基本的なことこそ大切なのです。

体というのは、手をかけてあげると必ず応えてくれます。まずは自分でできる改善に取り組んでみる。それでもうまくいかなかったら、薬膳茶や漢方など、自然の力を積極的に利用した体質改善にチャレンジしてみてください。