不妊漢方.comは、不妊症で悩んでいる方に体質改善と漢方薬を提案している相談薬局「堀江薬局」のサイトです。

妊娠力の教科書〜排卵誘発剤クロミフェンについて〜

病院での不妊治療をすると
クロミッドセロフェン飲まれた事がある方は多いでしょう。

このクロミッド、セロフェンというのは商品名で、
薬物の名前は「クエン酸クロミフェン」といいます。
排卵誘発剤として、おそらく一番有名な薬です。

t02200522_0275065212837016555
1961年にアメリカで開発され日本では1968年に発売されました。
なので、40年以上の歴史のある薬です。
排卵のしにくい排卵障害がある人の排卵率がとても高くなるため、一気に世界的に広がりました。

一般的な女性ホルモン剤では、吐き気やめまい、むくみなど様々な副作用が出るのに対し、クロミッド、セロフェンには、そういった副作用が少ない、非常に飲みやすいということもあり、とてもよく使われています。

ただ一方で、排卵率は高くなる割に、意外と妊娠率は高くならないことが知られています。
これは、

「子宮内膜が薄くなる」
「頚管粘液(排卵期のドロッとしたおりもの)が少なくなる」

といった副作用があるためです。

赤ちゃんのベッドになる子宮内膜が薄くなってしまうと、着床しにくくなりますし、精子と卵子を出会う手伝いをしてくれる頚管粘液が減ると受精しにくくなります。

排卵がしやすくなるという大きな利点がありますが、逆に、受精や着床に関して欠点もあるお薬なので、使う時には上手につきあうことが必要です。

こういった欠点を避けるために、5~6周期使った後は、治療法を注射などの他のお薬に変更される医師も少なくありません。クロミッド、セロフェンを飲んでいて、経血の量が減ってくる、排卵期のおりものが減ってくるなどの症状に気づいた場合は、早めに医師に相してください。

それでは、クロミッドについて詳しく見ていきましょう。

「生理5日目から5日間飲んでください」


そんなふうに説明されることが多いクロミッドですが、どうして生理5日目から服用するか知っていますか?

通常は1個の卵胞が大きく育って排卵しますが、生理1日目の段階では何個か小さい卵胞があります。
生理5日目頃に、何個かある卵胞のうち1個だけが残って大きくなっていきます。
1個だけ残る卵胞(主席卵胞と言います)が決まらない生理5日目以前にクロミッドを飲み始めると、卵胞が何個も大きく育ってしまいます。
そうすると、双子や三つ子のリスクが高くなってしまうんですね。
だから、5日目から飲み始めます。

「えー!私、5日目から飲み始めたけど、卵胞が3つできちゃったよ~」

と言う場合もあると思いますが、これは卵胞の育つスピードに個人差があるためです。

逆に、体外受精の採卵周期など、わざとたくさん育てるために5日目以前から飲み始める場合もあったりします。
クロミッドを飲み始める時期によって、育つ卵胞の数がある程度コントロールできるのです。

どうやって効いてるの?


クロミフェン(クロミッド、セロフェン)の特徴は、この薬がどんなふうに効いているか知ると、よくわかります。

まず、卵胞ホルモンであるエストロゲンがどうやって出てるかを説明します。

t02200293_0800106712839780126
(ちゃんとした話なのに、残念なくらい格調高い図なのはご愛嬌)
さて。
卵巣にある卵胞からエストロゲンは出ます。
生理初日から排卵日に向けて卵胞が大きくなってくると、
エストロゲンが出る量もどんどん増えます。
この卵胞を大きくするのが、脳から出されるホルモンであるFSH。FSHは卵胞刺激ホルモン(Follicle Stimulating Hormone)の略です。
卵胞を刺激して大きく育てる働きを持っています。脳からFSHが出る。

FSHが卵胞を大きくして、

卵胞からエストロゲンが出る。これが、エストロゲンが分泌される流れです。エストロゲンは、

子宮内膜を厚くしてくれたり、
排卵期のおりものを増やして精子が子宮に入れるようにしたり、
妊娠するために大切な働きをしてくれています。
エストロゲンを鍵だと思ってもらうとわかりやすいのですが、
受容体という鍵穴があって、
そこに鍵であるエストロゲンがカチッと
はまることで効果を発揮します。子宮内膜やおりものを出す細胞には、
鍵穴(受容体)がついてて、鍵(エストロゲン)がはまると
反応するわけです。脳にも、この鍵穴(受容体)がたくさんあって、
鍵(エストロゲン)がはまる数でエストロゲンの量を判断しています。

「10個の鍵穴のうち、3個しか鍵(エストロゲン)が
はまってないってことは、鍵(エストロゲン)が足りないぞ。
卵胞がまだ小さいんだなー、
だったらもっとFSHを出して卵胞を大きくしてやろう。」

とか

「10個の鍵穴全部に鍵がはまってるから、
もう鍵(エストロゲン)は十分だな。
FSHを止めて卵胞を育てるのを中止しよう」

とかの判断をしています。

で、クロミフェン(クロミッド、セロフェン)がどうやって効いてるかなんですが、こんな感じです。

t02200293_0800106712839780126
クロミフェンはニセ鍵なのです。
本物の鍵(エストロゲン)に似てて、鍵穴(受容体)にはまって穴を塞いでしまう。
そうすると、本物の鍵は鍵穴に入れず、効果を発揮することができません。脳にある鍵穴をニセ鍵がふさいでしまうと、脳はエストロゲンが足りないと勘違いして、卵胞を育てるためのFSHをどんどん出すんですね。それで、卵胞がどんどん大きくなるというわけです。

ちょっとややこしいんですけど、クロミフェンはこんなふうにして卵胞を大きく育てて排卵させてくれます。

《まとめ》

☆鍵(エストロゲン)は鍵穴(受容体)にはまって、効果を発揮する。

☆ニセ鍵(クロミフェン)は鍵穴をふさいで、鍵(エストロゲン)が足りないと脳に勘違いさせる。

☆脳は、エストロゲンをもっと卵胞に出させるために卵胞を大きくするFSHをどんどん出す。

☆そのおかげで、卵胞はどんどん大きくなって排卵できるようになる。

効くから副作用がでる。


一方で、鍵穴(受容体)をニセ鍵(クロミフェン)がふさぐせいで、困ったことも起きてしまいます。それが副作用です。

脳にある鍵穴だけをニセ鍵(クロミフェン)がふさいでくれれば問題ないんですが、

そうはうまくいきません。

子宮内膜や子宮頚管にある鍵穴も、ニセ鍵(クロミフェン)によってふさがれてしまいます。
そうなると、本物の鍵(エストロゲン)は、鍵穴にはまることができず、子宮内膜を厚くしたり、おりものを出すという効果を発揮できないのです。
そのため、エストロゲンが足りないのと同じ状態になってしまい子宮内膜が薄くなったり、排卵期のおりものが減ってしまうという副作用が出ます。

クロミフェンが効果を発揮する仕組みが、副作用を引き起こしてしまうのです。
残念・・・

☆卵胞を大きくして排卵させるメリット☆子宮内膜を薄くし、おりものを減らすデメリット

クロミフェン(クロミッド、セロフェン)を使う場合は、メリット、デメリット2つのバランスを見ながら使わないといけません。

個人差がありますが、一般的には5~6周期以上続けて使うと、だんだんとデメリットが大きくなっていくと言われています。

クロミフェンで薄くなってしまった子宮内膜は、回復するまでに少し時間がかかりますから注意しましょう。

《まとめ》

☆クロミフェン(クロミッド、セロフェン)を使う場合は、生理と排卵期のおりものの量に注意!

☆量が、がくっと減ってきたら副作用が出ている可能性あり。すぐに主治医に相談を。

おまけのマニアックな話。


クロミフェンについて調べてるうちにわかったマニアックな話をおまけで。ちょっとここは薬剤師っぽい専門的な話です。

??だんだん子宮内膜が薄くなるのはなぜ??

『クロミフェンを継続使用していると次第に子宮内膜が薄くなっていきますが、それはなぜなんだろう?』

という疑問があり、製薬会社に問い合わせをしました。服用したクロミフェンが血中に蓄積していくためかと思ったら、半減期(薬が半分に減る時間)は58時間で、5日間服用すると2週間位で血中からほぼ消えます。

実は、クロミフェンが効き続けて子宮内膜が薄くなるのではなく、子宮内膜が低温期に増殖していくのが阻害されてしまうと、高温期にさらに厚くなることができず、そのまま生理を迎えます。
薄い子宮内膜の状態で生理を迎えると、本来、残るはずの子宮内膜まではがれてしまう。
すると、次の周期は更に内膜が薄くなり、次の生理ではさらに残るべき子宮内膜がはげていく。
すると、次の・・・という感じで、
必要な子宮内膜まで繰り返しはげてしまうことで、クロミフェンを長期間続けると、子宮内膜が薄くなるとのことでした。

となると、月経量が減ってきたら、すぐに対応する必要があります。
また、クロミッドが薄くなった状態でいきなり治療を全く止めてしまうより、注射(hMGなど)を使う治療を続けて行ったほうが、子宮内膜の回復が早いとも言われていますので、自己判断だけで治療を中断しないようにしましょう。

(C)Copyright 2008 Horie Drug All Rights Reserved.